セカンダリリソースの定義方法

セカンダリリソースの定義方法について、SAP ERP(S/4HANA)側と PP/DS 側の両面から説明します。

セカンダリリソースの定義方法

結論から言うと、2つのレイヤーがあります

ERP 側(作業手順レベル) で定義する方法と、PP/DS 側(PDS レベル) で BAdI を使って組み込む方法です。それぞれ仕組みが異なります。


1. ERP 側:作業手順の工程で副能力種別を割り当てる方法

これが最も標準的なセカンダリリソースの定義方法です。

前提の理解: SAP の作業区(Work Center)は、1つの作業区に対して複数の能力種別(Capacity Category) を持てます。たとえば「機械能力(001)」と「人員能力(002)」を同じ作業区に定義できます。

設定手順:

ステップ1:作業区に複数の能力種別を設定

T-code CR01/CR02 で作業区マスタを開き、「能力」タブで能力を定義します。

能力種別 説明
001(機械) メインの機械能力 → PP/DS ではプライマリリソースになる
002(人員) 作業者の能力 → PP/DS ではセカンダリリソースになる

1つの作業区 S1 に対して、機械能力と人員能力の両方を登録します。それぞれにシフトパターン・稼働カレンダー・利用可能能力を個別に設定できます。

ステップ2:作業手順の工程で能力所要量を定義

T-code CA01/CA02 で作業手順を開き、工程0010の標準値タブで段取時間・加工時間を入力すると、作業区に定義されている各能力種別に対して能力所要量が計算されます。

ステップ3:PP/DS への転送

CIF/PDS 転送を行うと、作業区の能力種別がリソースに変換されます。

ERP 側 PP/DS 側
作業区 S1・能力種別 001(機械) プライマリリソース
作業区 S1・能力種別 002(人員) セカンダリリソース

どの能力種別がプライマリになるかは、作業区のカスタマイジング(能力種別の優先順位)と PP/DS のリソース設定によって決まります。

この方法の特徴:

  • 1つの工程(1つの作業区)の中で、メインリソースと補助リソースが同時に定義される
  • セカンダリリソースの時間はプライマリリソースのスケジュールに完全に従属する
  • マスタデータの構造がシンプル

2. PP/DS 側:PDS 上で直接セカンダリリソースを割り当てる方法

PDS のモード詳細画面で、アクティビティのモードに対してセカンダリリソースを直接指定できます。

確認・設定画面:

T-code /SAPAPO/CURTO_SIMU(PDS シミュレーション表示)または /SAPAPO/CURTO_CREATE で PDS を表示し、以下の階層をたどります。

PDS → アクティビティ → モード → モード詳細

モード詳細画面の中に、プライマリリソースのフィールドとは別にセカンダリリソースの割当エリアがあります。ここで直接リソースを指定できます。

ただし、これは手動での設定であり、PDS が再生成されるとリセットされる可能性があります。


3. PDS BAdI を使ってセカンダリリソースを自動組込みする方法

ERP 側の PRT 情報を PP/DS のセカンダリリソースとして自動的に組み込むには、BAdI を使います。

標準機能では PRT をセカンダリリソースとして DS ボードにモデリングする方法は用意されていません。PDS BAdI を使用して、PRT をセカンダリリソースとして PDS に組み込むロジックを実装する必要があります。 SAP Community

使用する BAdI は CURTO_CREATE(PDS 生成時の拡張ポイント)です。PDS が生成・更新されるたびに、このBAdI内のロジックで作業手順に割り当てられた PRT 情報を読み取り、対応するリソースをモードのセカンダリリソースとして自動セットします。

決定メカニズム:作業区の「スケジューリング」タブで指定された能力種別

SAP Help「Integration of Resources」に以下の明確な記述があります。

スケジューリングに関連する能力種別(Capacity relevant to scheduling)はモードのプライマリリソースとして割り当てられる。その他のすべての能力種別はセカンダリリソースとして割り当てられる。 SAP Help

では「スケジューリングに関連する能力種別」とは何かというと、これは 作業区マスタの「スケジューリング(Scheduling)」タブに指定された能力種別 です。


ERP 側での設定箇所

作業区マスタ(T-code: CR01/CR02)には以下の2つのタブが関係します。

「能力(Capacities)」タブ: ここで複数の能力種別を定義できます。

能力種別 説明
001 機械(Machine) 利用可能能力: 8時間/日
002 人員(Labor) 利用可能能力: 作業者3名

「スケジューリング(Scheduling)」タブ: ここで 1つだけ 能力種別を指定します。

スケジューリング基準は作業区のスケジューリングビューで定義される。スケジューリング基準では、スケジューリングの基礎として使用する能力種別を指定する必要がある。作業区は複数の能力を持つことができ、能力ごとに異なる稼働時間を持つことができる。そのため、どの能力をスケジューリング基準として使用するかを指定することが重要である。 SCDA

標準SAPでは、同一作業区に対して機械と人員の両方の能力種別でスケジューリングすることはできない。システムはスケジューリングに対して1つの能力種別(機械または人員)の能力所要量のみを考慮する。 SAP Community

つまり、スケジューリングタブに 001(機械) を指定した場合、PP/DS 転送後の結果は以下のようになります。

能力種別 スケジューリング関連 PP/DS でのリソース種別
001(機械) ✓(スケジューリングタブに指定) プライマリリソース
002(人員) セカンダリリソース

逆にスケジューリングタブに 002(人員) を指定した場合は、人員がプライマリ、機械がセカンダリになります。


どの能力種別をスケジューリング基準にすべきか

論理的にはボトルネックとなる能力種別をスケジューリング能力として割り当てるべきである。たとえば、機械能力が2台、人員能力が1名の場合、人員能力がクリティカルな能力になる。 SAP Community

つまり、ボトルネック(律速要因)となる方をスケジューリングタブに指定し、それがプライマリリソースになるようにするのが原則です。


CIF / PDS 転送時の動作

CIF は作業区の各能力種別ごとに1つのリソースを SAP APO に作成する。 SAP Help

つまり、作業区 S1 に能力種別 001 と 002 がある場合、PP/DS 側には 2つのリソース(例: S1_001S1_002)が作成されます。PDS 生成時に、スケジューリングタブの能力種別に対応するリソースがモードのプライマリリソースに、それ以外がセカンダリリソースに自動的に割り当てられます。


参照した情報源

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